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企画展 『錦絵に見る幕末の世相 第2期』 見所紹介

2025.04.19

タコの助言はありがたい⁉

『錦絵 芋喰僧正魚説法』

画:落合芳幾 文:仮名垣魯文。         安政6年(1859)12月版。

 豊漁で蛸が大量に獲れ、江戸市中に多く出回った一件を風刺した戯画です。    
 芋喰僧正という「化け蛸入道」のまわりに、乙姫、人魚、ナマズ、アンコウ、タイ、メバル、イナセ、フグ、まご九郎、ミノガメ、カツオ、アマダイたちが集まり、説法を聞いているというユニークな構図をしています。

凛々しい姿の慶喜

『錦絵 朝廷を守護する図』

方円舎清親図。明治15年(1882)2月版。 

 元治元年(1864)7月の「禁門の変」で、大軍を率いて御所に迫る長州勢に対して、幕府側が京都御所を守護する様子を描いています。
 中央の軍服を着用した馬上の人物が一橋(徳川)慶喜で、右面には「会津侯」こと松平容保(京都守護職、会津藩主)の姿も見えます。
 ただし慶喜がフランスから軍服を贈られたのは慶応年間(1865-1867)のことで、史実通り描かれているわけではありません。

戊辰戦争はじまりの戦い

『錦絵 城州伏見下鳥羽合戦図』

大蘇 (月岡)芳年画。

 慶応元年(明治元年・1868)に勃発した、「鳥羽伏見の戦い」を描いています。奥に描かれている橋は、戦端が開かれた小枝橋(こえだばし)です。左面には宮嵜市五郎という会津の指揮官が描かれていますが、架空の人物になります。
 斃れた兵士の表情やリアルに描かれた血の色合いから、戦闘のおぞましさが伝わってきます。